大切な人と訪れたい町、牟岐町 東京の大学生が1ヶ月牟岐町で暮らして 夜明け前のまだ薄暗い空の下、軽自動車のハンドルを握り、覚えたての細道を走らせた。靄がかかった坂道を下ると、窓ガラスの外にどこまでも続く海が広がっていた。車を止めて波止場に登り、灯台のもとに腰を掛けて数分、穏やかな波に真っ赤に燃える道が姿を現した。足元から水平線まで、まっすぐに伸びている光の道に心を奪われた私は、おぼつかない足取りで波打ち際を行ったり来たりすることしかできなかった。
大学二年の夏休み、牟岐町に足を踏み入れてすぐのことでした。
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